成人先天性心疾患
成人先天性心疾患の概要
医学の進歩により成人先天性心疾患患者は増加しており、特に複雑(重症)な方の割合が増加しています(図)。先天性心疾患では重症度によって管理が異なり、特に重症なものは先天性心疾患に精通した医師による管理が望ましいとされています(表)。
- 心不全、肺高血圧、不整脈、感染性心内膜炎、血栓症などの心臓の合併症以外に肝炎、肝硬変、胆石、腎機能低下、蛋白漏出性医長小などの心臓以外の合併症に注意が必要です。
- ダウン症候群や22q11.2欠失症候群などの染色体異常・症候群を合併されている方もおられ心疾患だけではなく心理・社会的支援を考慮する必要があります。
- 妊娠・出産時に厳重な管理が必要あるいは、そもそも妊娠を推奨しない疾患があります。また先天性心疾患を持つ患者様が子供を望まれる場合、その子供が先天性心疾患になる確率が高くなると言われており、遺伝的カウンセリングが必要です。
図
表
軽症 |
大動脈弁・僧帽弁疾患 心房中隔欠損症・卵円孔開存 肺動脈狭窄 動脈管開存 |
中等症 |
心室中隔欠損症(他の心構造異常を伴う) 心房中隔欠損症(静脈洞型) 房室中隔欠損症(心内膜欠損症) 大動脈縮窄 総肺静脈還流異常症 エプスタイン病 など |
重症 |
すべてのチアノーゼ性心疾患 単心室、三尖弁閉鎖、肺動脈閉鎖 フォンタン術後 大血管転位 修正大血管転位 両大血管右室起始 人工導管術後 アイゼンメンジャー症候群 など |
Shiina Y et al. Int J Cardiol. 2011 Jan 7;146(1):13-6
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2017年改訂版)