不整脈とは

心臓の解剖と機能

図に示す通り、心臓は心筋と弁、中隔組織により内腔が右房、左房、右室、左室の4つの部屋に隔てられています。通常心臓は1分間に60回/分の回数でおよそ5Lの血液を体のありとあらゆる臓器に供給します。心拍は1時間で3600回、1日10万回収縮と弛緩をくりかえし、これが一生(80-90年)続くわけですから、効率的に動くことが心臓にとって非常に重要になってきます。

正常心拍と刺激伝導系

効率的な心拍出を可能にするために、心臓には刺激伝導系といわれる組織を備えています。右房頭側に洞結節といわれる自律的に電気信号を発生する場所が存在し、そこから発生した電気信号が右房、左房へ伝わります。この信号を受けて右房、左房の心筋は収縮します。心室が血液で充満したところに、電気信号が房室結節、His束、右脚/左脚、プルキンエ線維を経て、最終的に心室筋に到着し、心室筋が収縮します。刺激伝導系はこのように、心臓全体の動きを制御することでより効率的な心臓機能を発揮することに貢献しています。

不整脈とは

不整脈とは、簡単に言えば、このような刺激伝導系のメカニズムに障害をきたすもので、脈が多くなる不整脈(頻脈性不整脈)と少なくなる不整脈(徐脈性不整脈)に大別されます。代表的なものをお示しします。

表:代表的な頻脈性不整脈と徐脈性不整脈

 頻脈性不整脈  徐脈性不整脈
  心房期外収縮   洞不全症候群
  発作性上室頻拍   房室ブロック
  心房細動   徐脈性心房細動
  心房粗動  
  発作性上室頻拍  
  心室期外収縮  
  心室頻拍  
  心室細動  

症状について

不整脈による症状は、人によりさまざまです。典型的には、頻脈性不整脈の場合、動悸や胸部不快感、重篤なものでは失神などで、時に突然死の原因になるものもあります。徐脈性不整脈は、めまいやふらつき、眼前暗黒感、失神ですが、こちらも時に突然死の原因になることがあります。また刺激伝導系の一部に障害があり、心収縮が正常に行われず、心拍数が下がったり、心収縮力が低下すれば心不全による症状(労作時呼吸苦、下腿浮腫、易疲労感や倦怠感など)が出現します。

検査について

不整脈は時に一過性に出現するため、症状の原因が不整脈によるものかの判断が困難なことがあります。不整脈が出現したときに心電図を取ることで不整脈の診断が可能ですが、不整脈の頻度によっては診断が困難なことがあります。当センターでは詳細な問診および検脈によるセルフチェックによるスクリーニングに加え、各種生理検査(12誘導心電図、運動負荷心電図、24時間心電図、イベントレコーダー、植え込み型ループレコーダー)を実施しております。

治療について

頻脈性不整脈に対しては、一般的に薬物治療やカテーテルアブレーションを実施します。生命に危険がおよぶ頻脈性不整脈(心室細動や心室頻拍)に対しては植え込み型除細動器の治療を行っています。徐脈性不整脈の治療は、原因が除去できない場合にペースメーカの植え込みを行います。電気信号の障害により心室同期障害をきたした場合には、心臓再同期療法を実施しています。当院では植え込みデバイスの管理において遠隔モニタリングを積極的に導入しております。

詳しい検査の方法や治療方法についてはそれぞれの疾患情報からご確認いただき、かかりつけの先生にご相談ください。

文責 川﨑