ペースメーカ

ペースメーカ治療とは

ペースメーカの適応になる疾患

心臓は全身の臓器に血液を送り出すという重要な役割を持っています。心臓が効率よく血液を全身に送り出すためには一定のリズムで(遅すぎず早すぎず)規則正しく心臓が収縮する必要があります。しかしながら、加齢、心筋疾患、虚血性心疾患、内分泌疾患、薬物などの影響により脈拍が極端に遅くなる(徐脈)と、めまい、眼前暗黒感、失神、呼吸苦などの症状を来したり、心不全や突然死の原因になることもあります。徐脈の代表的な疾患として洞不全症候群、房室ブロック、徐脈性心房細動があります。

徐脈性心疾患の治療

徐脈の原因が可逆的な場合、原疾患の治療で改善することもありますが、不可逆的な場合も多いのが現状です。徐脈に対する薬物治療は効果が不十分でかつ催不整脈性の副作用も多いため、通常は行われません。急性心筋梗塞などの一時的な原因の場合は体外式ペースメーカを入れることがありますが、長期に留置することができません。加齢などによって生じる場合は植込み型ペースメーカの適応になります。

ペースメーカとは

植込み型ペースメーカの主流はペースメーカ本体(電池)とリードからなります(ペースメーカの写真1左、写真2上段)。心臓に留置されるリードは疾患により1本の場合と2本の場合があります。ペースメーカは患者さんの脈が設定値より遅くなった場合に作動します。植込み手術は4~5日程度の入院が必要で手術時間は1時間から2時間程度です。局所麻酔で行うことが多いのですが患者さんの状態により点滴で鎮痛剤や鎮静剤を用いることもあります。植込み後、安定すれば約6か月に1回程度の受診で問題ありません。患者さんのペースメーカ依存度にもよりますが5年から12年程度でペースメーカ本体の交換が必要となります。

リードレスペースメーカ

2017年より本邦でもリードレスペースメーカが使用できるようになりました(写真1右)。本体が小型化され直接心臓に植込むことが可能となりました(写真2下段)。植込みも鼠径部から経カテーテル的に挿入することが出来ますので、従来のペースメーカのように前胸部に傷跡が残ることはありません。また、手術時間も短時間で済むことや体内にリードがありませんのでリード関連の合併症を減らすことが可能です。

写真1 従来のペースメーカとリードレスペースメーカ

写真2 従来のペースメーカシステムとリードレスペースメーカシステムの比較

文責 渡部